見た目を整えるだけがデザインの世界じゃない
「デザイン」というと、見た目を美しく整えることだと思われがちです。もちろん視覚的な美しさも大切な要素の一つですが、本質はそれだけではありません。
本来、デザインするとは「人を動かす仕組みをつくること」です。
デザイン思考とは?
問題解決のためのアプローチ
「デザイン思考(Design Thinking)」とは、もともとデザイナーが行ってきた課題解決のプロセスを、あらゆる分野に応用できるように整理した考え方です。
観察・共感から始まり、アイデアを出し、プロトタイプを作ってテストする――という一連の流れは、ユーザーの行動や感情に寄り添う「人間中心設計」の考え方に基づいています。
5つのステップ
デザイン思考の基本プロセスは以下の5つに整理されます:
- 共感(Empathize) – ユーザーを深く理解する
- 定義(Define) – 課題を明確にする
- 発想(Ideate) – 解決策のアイデアを出す
- 試作(Prototype) – アイデアを形にする
- テスト(Test) – 実際に試し、改善する
この流れを繰り返すことで、見た目だけでなく本当に役に立つデザインが生まれます。
「人を動かす」仕組みをどうつくる?
ユーザー視点で考える
優れたデザインは、ユーザーの行動を自然に導きます。
たとえば、ボタンの色を少し変えるだけでクリック率が上がる、情報の配置を変えるだけで問い合わせが増える。
それは単なる飾りではなく、意図的に組み込まれた仕組み=デザインの力です。
感情に訴えるストーリーを設計する
人は理屈ではなく感情で動きます。デザインには、ストーリー性やメッセージを込めることが必要です。
見る人の心を動かし、「共感」や「納得」を引き出す仕組みを組み立てていく――それが、ただの飾りではない機能するデザインにつながっていきます。
デザインでできること
デザインは「見た目を整える」だけでなく、伝える・動かす・つなげるという本質的な役割を持っています。具体的にどんなことができるのか、いくつかの視点で紹介します。
1. 商品やサービスの「価値」を正しく伝える
どれだけ良いものを作っても、伝わらなければ存在しないのと同じです。
デザインは、商品の魅力や特徴を視覚的に整理し、直感的に「良さ」が伝わるようにします。
- 例:パッケージデザインで「高級感」や「安心感」を与える
- 例:サービス紹介のチラシで「誰に・どう役立つか」を一目で伝える
2. 誰にでもわかりやすく、使いやすくする(情報設計)
見た目だけではなく、「構造や順序」を設計するのもデザインの役目です。
特にWebサイトや資料、マニュアルなどでは、使う人の立場に立って構成を考えることで、理解しやすく、迷わず行動できるものになります。
- 例:ボタンの配置や色で「次に何をすべきか」が明確になるUI
- 例:資料のレイアウトで情報を段階的に伝えるプレゼン資料
3. 人の行動を後押しする(アクション誘導)
デザインには、行動のきっかけをつくる力があります。
「申し込みたくなる」「読んでみたくなる」「手に取りたくなる」――そういった気持ちを、自然と引き出すのがよいデザインです。
- 例:キャンペーンバナーの色やキャッチコピーで購入を後押し
- 例:リーフレットの構成で「この先の行動」がわかりやすくなる
4. 世界観やブランドをつくる
ブランドの印象は、見た目・言葉・トーンの一貫性で形成されます。
ロゴ、配色、フォント、写真、言葉遣い……すべてを通して「らしさ」を伝えることで、記憶に残るブランド体験が生まれます。
- 例:スターバックスのように、一目でブランドとわかる統一感
- 例:ロゴと名刺、SNSの画像に一貫性があることで信頼感UP
5. 想いを可視化する(共感・ストーリーテリング)
頭の中にある「コンセプト」や「ビジョン」は、目に見えません。
デザインは、それらの目に見えない価値を形にする手段です。
共感を呼ぶストーリーや、理念に共鳴するビジュアルを通して、人の心に届く「伝わる形」をつくれます。
- 例:活動理念をポスターで表現し、共感者を増やす
- 例:コンセプトを図解して、アイデアの魅力をわかりやすく伝える
まとめ:デザインは、目的のある仕組みづくり
デザインとは「かっこよく見せる」ことではなく、目的達成のために、人の行動を設計することです。
そのためには、相手をよく知り、課題を見つけ、試しながら仕組みを整えていく――それが「デザイン思考」であり、クリエイティブの本質です。




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