演技を支える、見えないこだわり──フラッグ加工の話

Art*Flag

Color Guard Fun!では、1枚のフラッグを仕上げるまでに、いくつかの手作業を重ねています。
その中でも仕上がりや耐久性、操作性に直結するのが「加工」です。

もちろんフラッグはただプリントするだけでは完成しません。
生地の端がほつれないように全辺に熱処理を施し、極細三巻加工で仕上げ、ポールを通す部分には絵柄を極力合わせながらの筒状加工など、用途やご希望に応じた形で丁寧に仕上げていきます。

また、演技中に強い負荷がかかる部分には、通常使用でも補強ステッチを施しています。糸も生地と同じポリエステルを使用することで、万が一切れることがあっても一気に解れることはなく、修復も全国にある手芸店で手に入るように糸の番号を共有させていただいています。
これらの加工はすべて、パフォーマンス中に起きる小さなストレスや事故をできる限り防ぐために行っています。効率よりも「安心して使えること」を優先した、手間のかかる工程です。

舞台上でフラッグが美しく舞うのは、パフォーマーの実力とともに、こうした見えない部分の積み重ねが支えていると信じています。Color Guard Fun!は、パフォーマーの裏側を支える「黒衣」として、今日も1枚1枚と向き合っています。

ここからは、実際の加工現場を通して、
フラッグデザイン決定後からの印刷・加工についてご紹介いたします。

出力データの作成

フラッグデザインが決定したら、そのデータのまま印刷…ということにはなりません。印刷のための出力データを改めて作成する必要があります。

この工程では、仕上がりサイズ、縫製や加工の余白(塗り足し)のための編集、色の再現性などを考慮しながら、印刷に適した形式・精度でデータを再作成します。
モニター上でどんなに美しいデザインであっても、この出力データが正確でなければ、意図した通りの発色や配置にならないため非常に重要なステップになります。

この工程は、出力方法や入稿先、さらには加工の方法によっても異なるため、
たとえ他社で出力作業の経験があったとしても、別の会社では通用しないことも少なくありません。
それぞれの仕様に応じた調整が求められる繊細で専門的な作業になります。

印刷

Color Guard Fun!では、昇華転写プリントという方式を採用しています。
この方式は、まず専用の転写紙にデザインを反転印刷し、その後、高温で布に転写していきます。
インクが気化して繊維に浸透するため、発色が鮮やかで、洗濯や使用による色落ちも少ないです。

デザインの段階から「生地に転写されたときの見え方」を考慮し、色味や濃淡を細かく調整しています。また、ステージ照明の影響や、演技中の動きも想像しながら細部まで仕上げます。

印刷には、専門工場との綿密な連携が欠かせません。
デザインデータ作成の段階から印刷工程に至るまで細かな調整を重ねながら、
データの最終チェック、転写紙への出力、そして熱プレスまで、
一つひとつの工程を双方に連携しながら進め、最良の仕上がりを追求しています。

生地の裁断

印刷が終わるとロール状で仕上がってきます。
そうしましたら、まず広げて検品しながら1枚ずつカットしていきます。

検品が終わったら、裁断とほつれ防止のための熱処理加工を行います。
一般的にはハサミで裁断することが多いのですが、私たちは長年の経験から、
ハサミによる裁断では端がほつれやすく、たとえ三巻加工を施しても十分な強度が保てないことを学びました。

一方、熱処理による裁断は、時間的にも大きな差はなく、仕上がりの耐久性が高いという利点があります。
そのため、Art*Flagでは、裁断において熱処理加工を標準仕様としています。

極細三巻加工

裁断が終わると次は、周囲三巻加工を施します。
熱処理をしていれば三巻をしなくてもフラッグとしては成立するのですが、そこに三巻加工をすることで、さらなる強化はもちろん、クロスのなびき方やフラッグの安定感が変わってきますので、Art*Flagでは熱処理加工後に三巻加工を施しています。

筒加工

三巻加工が終わったらポールに通す箇所を作成します。
筒加工の円周は、例えば直径25mmポールの場合、
約78.54mmですが、これはあくまでポールの円周であり生地も縮むので+αが必要です。

+20mmほどで筒部分を100mmにすることで、生地が縮んだとしてもポールには入るようになります。さらにArt*Flagでは、ポールTopのキャップのところを考慮して、指示がない限り筒部分を120mmほどにしています。

また、フラッグの中で最も負荷がかかる箇所が筒加工の上下の縫製部分になります。なのでArt*Flagは、負荷を考えて縫製を強化しています。


まとめ:こだわりの塊

このようにArt*Flagは、一見するとシンプルな作りに見えますが、その裏側には素材選び、デザインデータ、加工方法など、さまざまな工夫と試行錯誤が詰まっています。

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